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開館中
Hsing-Yu Liu 劉 星佑(リュウ・セイユウ)
父と母と私
KG+SELECT Award 2024 Winner
キュレーター:黄 慕薇
セノグラファー:木村俊介(SSK)
※入場は閉館の30分前まで
劉星佑は、農業や生態系、そしてジェンダーの平等を主軸に置いた作品を制作しています。2009年、長らく離れていた台湾・高雄の甲仙の実家に帰省した際に発見した一枚の結婚写真をきっかけに、〈My Parents〉シリーズを撮影し始めました。父親にウェディングドレス、母親にスーツを着せ、それぞれ婚姻の中で異なる役割を担うことで変化していた容貌と気質を表現し、ジェンターに対する固定観念に問いかけています。
劉の写真は、故郷の風景や農村の季節行事、家族との記憶など、親しみやすい日常の情景を切り取りながらも、そこにはユーモアと深い思索が込められていて、鑑賞者を社会的な問題へと引き込む力を持っています。フィルムカメラの独特な色合いがもたらす幻想的なトーンは、性的マイノリティーが立ち向かうリアリティとは対照的に、観る者を夢と現実のはざまへと誘います。
実際の場所で撮影した〈My Parents〉シリーズから派生して制作された〈住所不明〉シリーズは、さらに記憶の場所を辿ります。台湾における同性婚の合法化を先祖に知らせるというコンセプトのもと、戸籍に記載されている先祖の住居、父親が兵役を経験した土地を訪れることで、家族の歴史をより広い社会的・歴史的文脈に結びつけ、個人と社会、そして過去と現在の関係性を映し出しています。また、写真と並行して取り入れられる書や印章は、伝統や社会的規範を連想させ、自身のルーツとアイデンティティへの探求をより深める要素となっています。
本展では、1984年に撮影した両親の「結婚」写真と2010年の「再婚」写真を物語の起点としています。両親の社会的性別を反転させ演出する中で交差する劉自身の「里帰り」は、劉のカミングアウト、芸術への追求と重なり、自分自身へと回帰する心の旅となるのです。
文:黄 慕薇

My Parents–Stigmata I © Liu Hsing-Yu

My Parents–Cape Paradise © Liu Hsing-Yu

My Parents–Taro Field © Liu Hsing-Yu
Fees 入場料
大人: ¥600
学生: ¥500 (学生証の提示をお願いします。)
会期中1回、全会場に入場できる特別パスポートチケットもございます。
詳しくはこちらをご覧ください。
artist アーティスト
Liu Hsing-Yu 劉 星佑(リュウ・セイユウ)
1985年、台湾・高雄生まれ。国立高雄師範大学で修士号を取得。農業や生態系、そしてジェンダーの平等を主軸に置いた作品作りをしている。劉にとっての写真は創造的な手法であるだけでなく参加型のメディウムでもあり、見据えている諸問題に人々の関心を惹きつけるための思慮深さと、ユーモアとしての役割を持ち合わせている。2018年には台北美術賞にノミネートされ、ポンピドゥー・センターで開催された「コスモポリス#2:人間再考」に参加した。
Venue 会場
ギャラリー素形
- 開館時間
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11:00–18:00
※入場は閉館の30分前まで
- 休館日
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4月17日・21日・24日、5月1日・8日