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Yoriyas (Yassine Alaoui Ismaili) ヨリヤス(ヤシン・アラウイ・イスマイリ)

カサブランカは映画じゃない

Supported by agnès b.

セノグラファー:横前 拓磨 + Ghali Bouayad (YOKOMAE et BOUAYAD inc.)

ヨリヤスがプロのブレイクダンサーおよびコレオグラファー(振付師)として活躍し世界各所を訪れた際、出身地を聞かれ、カサブランカ出身だと答えると、人々はこぞって映画『カサブランカ』を思い浮かべ、オリエンタルな雰囲気やラクダや砂漠を連想しました。現地で暮らす自身にとってのカサブランカと、人々が思い描くカサブランカに違和感を感じ、その都度「そうじゃなくて、カサブランカは実際には伝統と現代性が混在している街なんだ」とヨリヤスは説明せざるを得ませんでした。

その後膝をケガして競技や練習を中断せざるを得なくなり、カサブランカに戻ったヨリヤスは、世界中を興行していた際に大会の会場とホテルの場所を覚えておくために使っていたカメラを手に、リハビリもかねてカサブランカの街を歩き始めます。
ヨリヤスは「まるで透明人間になったかのように」街に身を置き写真を撮ることで、内側から、より深い立ち位置からカサブランカを捉えます。そしてカサブランカに生まれ育ち、今も住んでいる一人のモロッコ人としての視点で、東洋と西洋、伝統と現代性、コミュニティと個性といった対照的な瞬間をフレームの中に収めます。まさに写真表現により、カサブランカという街の現在をより鮮明に浮かび上がらせるのです。

「カメラのフレームはまるで劇場の舞台のようなもの。フレームに入ってくる人々は私のダンサーだ。カメラを動かすことで、私は知らないうちに被写体に振り付けをしている。面白い振り付けが目に飛び込んで来たら、シャッターを押す。私は空間、動き、繋がり、物語をすぐさま理解するようにトレーニングされている。私は振り付けをするように写真を撮る」
こう述べるヨリヤスの感性で切り撮られたカサブランカの風景や人々は、街が持つ多面性や、土地に内包する多様性の真価を私たちに語りかけてくるかのようです。
この展覧会を「まっすぐ見るのではなく、身体を傾けたり、動き回ったり、踊るように見てもらいたい」、ヨリヤスはそう願っています。

©︎ Kenryou Gu-KYOTOGRAPHIE 2024

©︎ Kenryou Gu-KYOTOGRAPHIE 2024

©︎ Kenryou Gu-KYOTOGRAPHIE 2024

©︎ Kenryou Gu-KYOTOGRAPHIE 2024

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Yoriyas (Yassine Alaoui Ismaili) ヨリヤス(ヤシン・アラウイ・イスマイリ)

ヤシン・アラウイ・イスマイリ(アーティスト名:ヨリヤス)は、モロッコの写真家、振付師。プロのブレイクダンサーとして注目を集めた後、2015年より写真家としての活動を開始。ヨリヤスは国際的な評価を受け、近年ではニューヨークタイムズ紙が発表する注目すべきアーティストの一人として選ばれた。パフォーマンスから写真まで、彼の作品は、人が都市や公共空間の中でどのように暮らし、馴染んでいくのかということについて焦点を当てている。モロッコ、特に自身が住んでいるカサブランカやアフリカの日常生活を撮影し、その地での様々な社会的変化について提示している。ありのままの現実を捉えた作品の数々は、彼の直感の力や特に色へのこだわりによって特徴付けられている。ヨリヤスは、新たな視点を提案するために、自身の振付師としての経験を取り入れている。また、瞬間的に切り取られた光景は、空間や動きを素晴らしく捉えていることを示唆している。数学とチェスに関心があることもあり、彼の作品には、様々な構想を含みながらも、バランスが取れた複雑な構成を見てとることができる。アフリカ写真賞(CAP)(2018年)、アラブ世界研究所の若手現代創作賞(2019年)、マルケ・マラケシュのコンテンポラリー・ダンス・フェスティバルのタクリフ賞(2023年)など、数多くの賞を受賞。エルメス財団(パリ)、836m Gallery(サンフランシスコ)、写真研究所(リール)など、国際的な機関での展示やパフォーマンスを多く開催。モロッコ国立写真美術館の開館記念展覧会「Sourtna」(2020年)をキュレーションし、ワシントンの世界銀行(2022年)に巡回。

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