Rinko Kawauchi 川内倫子
Cui Cui + as it is
From Our Windows
Supported by KERING’S
セノグラファー:小髙未帆 (APLUS DESIGNWORKS)
繊密な感性でそのものに宿る儚さや根源的な生命力を浮かび上がらせ、国内外で高い評価を受けている写真家・川内倫子が対話的プログラムである本展のパートナーとして名を挙げたのは潮田登久子。「女性の社会進出が困難な時代から写真家として活動をされ、目の前の生活に真摯に向き合われていることをリスペクトしている」と川内は潮田について語ります。本展では、それぞれが家族を撮影したシリーズが一堂に会します。
川内は、生まれたときから一緒に暮らし学生の頃から撮影していた祖父の死や、兄夫婦の甥の誕生など、13年にわたり家族を撮影し、結果として家族の循環がテーマとなった〈Cui Cui〉と、自分自身の出産から約3 年間、子育ての中で出会った子どもの姿や身近な風景をとらえた〈as it is〉のシリーズを展示します。
潮田は 1975 年からフリーランスの写真家として活動をスタート。写真家の島尾伸三との間に1978 年に娘のまほが生まれてすぐ、 1888 年築の東京・豪徳寺の洋館(旧尾崎テオドラ邸)に引っ越します。本展では娘が生まれてからの約 7年間にわたり、夫や娘、洋館での暮らしをとらえた〈マイハズバンド〉と、自分の生活を記録に留めるように自宅の冷蔵庫を定点観測したことから始まり、その後親族や知人、友人らの冷蔵庫を20年におよび撮影した〈冷蔵庫/ ICE BOX〉のシリーズを展示します。
家族、住まい、日々の暮らし、死と生──誰しもにとって身近にある、けれど時とともに姿かたちが変わりゆく存在や営みを一つひとつ丁寧に掬い上げる2 人の写真家のまなざしは、私たちの日常に潜むささやかな瞬間に、時代を超えてそれぞれの光を見出しているのです。
バーチャルツアー
アーティスト
Rinko Kawauchi 川内倫子
1972年、滋賀県生まれ。2002年に『うたたね』『花火』で第27回木村伊兵衛写真賞受賞。2023年にソニーワールドフォトグラフィーアワードのOutstanding Contribution to Photography(特別功労賞)を受賞するなど、国際的にも高い評価を受け、国内外で数多くの展覧会を行う。主な著作に『Illuminance』(2011)、『あめつち』(2013)、『Halo』(2017)など。近刊に写真集『やまなみ』(2022)「いまここ」(2023、谷川俊太郎との共著)がある。2022-2023年に東京オペラシティ アートギャラリーと滋賀県立美術館で個展「川内倫子:M/E--球体の上 無限の連なり」を開催した。
本展は、ケリングの「ウーマン・イン・モーション」の支援により制作される、世代を超えた二人の女性写真家による対話的な展覧会である。「ウーマン・イン・モーション」は、アートとカルチャーの分野で活躍する女性に光を当てることを目的として2015年に発足し、以降様々な芸術分野における女性の地位や認識について理解を深め、変化を促すためのプラットフォームになっている。