Coco Capitán ココ・カピタン
With the support of LOEWE FOUNDATION and HEARST Fujingaho
スペイン出身で、ロンドンとスペイン・マヨルカ島を拠点に活動するココ・カピタンは、KYOTOGRAPHIEのレジデンスプログラムで昨年10月から12月まで京都に滞在し、本作〈Ookini(おおきに)〉の制作に取りかかりました。京都に滞在中、フィルムカメラを携えて自転車で撮影に向かい、本作の被写体となったのはティーンエイジャー=10代の若者たち。未来の釜師、狂言師の息子、人形師の娘、禅僧を目指す学生、舞妓など日常生活に伝統文化が深く根付いている人々から、大学生や高校生、偶然出会った若者まで、多岐にわたります。今回、撮影に協力していただいた若者にはいつも「おおきに!」と感謝の気持ちを伝えていた、とカピタンは言います。
カピタンはこれまでさまざまなファッションブランドや企業とコラボレーションして作品を発表し、ファインアートだけでなく、コマーシャルアートの領域でも作品が評価されています。表現の自由が与えられたアーティストという立場で、資本主義市場に介入することに彼女は少しも恐れず、むしろ表現や働き方の幅が広がったと感じています。作品もまた、写真、絵画、詩などジャンルを横断しており、いろいろな手法でメッセージを発信することで、鑑賞者とつながる方法を模索しています。それはまるで、ひとりひとりに作品への多様な入り口を示してくれているかのようです。
カピタンの思うがままに撮影された京都の若者たち。伝統や制服など「何か」のルールの中で見え隠れする個性と協調性。それは自己と他者を認め合うコミュニティのあり方ではないでしょうか。また、ルールを設けず、ありのままの想いを綴ったカピタンのテキストは、感情を表に出すことをためらう人々の心の蓋を、そっと開けてくれるかもしれません。
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アーティスト
Coco Capitán ココ・カピタン
1992年、スペイン・セビリア生まれ。ロンドンとマヨルカ島を行き来しながら制作活動を行う。2016年ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートの写真分野の修士課程を修了。カピタンの制作活動は写真、絵画、インスタレーション、散文など多岐に渡り、ファインアートとコマーシャルアートの領域にまたがっている。近年の個展に「Naïvy in 50 [definitive] Photographs」(パルコ・ギャラリー 東京 2022)、「Naïvy」(マキシミリアン・ウィリアム・ギャラリー ロンドン 2021)、「Busy Living」(ヨーロッパ写真館 パリ 2020)、 「Is It Tomorrow Yet?」(デリム美術館 ソウル 2019)がある。主な著作に、『Naïvy』『If You’ve Seen It All Close Your Eyes』 『Middle Point Between my House and China』などがある。